4月1日より、私は日本女子大学(英通称=JWU)の特任准教授として新たな職務に就くことになりました。
エイプリル・フール?という冗談はさておき、いよいよ始まります。
このワクワクゾクゾクする新しい地平線に向かって船出するにあたり、この分水嶺に私を導いてくれた、良いことも辛かったことも含めた、全てのことに感謝しています。同時に、いまだかつてない地点から未知の領域を覗き込もうとしているような気もします。私にとって研究室を持つことが人生で初めての試みだからです。ここ数ヶ月間、多くの方々にアドバイスや様々な可能性を相談すると同時に、皆様からの忌憚のないアドバイスやコラボや共同研究のお話しも大いにウェルカムです。
ここに、研究室としての「KazLab」が発足します。ラボを持つという機会に感謝しつつ、今まで想像できなかった可能性に緊張している私は、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの言葉を思い出しています:
「私の中に、これまで読んだ全ての作家がいて、出会った全ての人々がいる。さらには私が愛した全ての人々、訪れた全ての都市、そして全ての祖先さえ... [それでも] 私は何も確信していない、私は何も知らない...」
楽観主義とソクラテス的懐疑主義の双対性は、私のプラクティスとスタディ両方に通底した姿勢のような気さえします。
日本女子大学が私に求めている目標は明確です。世界水準に匹敵するデザイン・カリキュラムを育み、留学生や卒業後の就業のために海外に送り出したり、短期ワークショップから交換留学といった様々な形で海外から学生を受け入れることができるようにするということが、私に求められていることだと認識しています。しかし、私一人では到底できないことが多々あるので、組織的な改変になると想像しています。この改革のもうひとつの側面は、学科単位であれ大学全体であれ、他のグローバルな教育機関とのパートナーシップや提携を拡大することだと思います。外に目を向け、世界における建築、デザイン教育におけるポジションを模索するためにも、私のラボは国内の研究テーマや活動にも取り組んでいきたいと思います。他者を知るためには、まず自分を知る必要があり、逆も然りです。何が展開されるのか、未だ正確には構想しきれていませんが、地域的にも分野的にも横断的なラボを作るよう、私は努力したいと思います。言い換えれば、私は群島的な「お山の大将」になることに興味がなく、むしろ他のラボや組織と連携して、国境を越えてリソース、情報や活動を共有したいと考えています。これは、私がいつか創りたいと夢見ているTrans-institutional(越組織的)、Trans-national(越国境的)、Trans-disciplinary(越学問的)なアカデミック・プラットフォーム構想への小さな一歩でもあるかもしれません。
私の様な無名の若輩者を起用するリスクをとり、未来の建築と都市のデザインを試行錯誤するための機会を与えていただいた日本女子大学に感謝したいと思います。日本女子大学は、今から120年以上前の1901年に日本初の女子大学として創立されました。以来、林雅子、東利恵、妹島和世、篠原聡子(現・学長)、赤松佳珠子、貝島桃代といった著名な建築家を輩出してきました。創設以来、長らく建築専攻は、家政学部・住居学科でしたが、2024年からは、建築デザイン学部・建築デザイン学科に改組されます。歴史的にも重要な建築家を輩出してきた伝統を持つ建築専攻に、学内で妥当な位置づけをするための劇的な、そして必然的な再編成だと思います。この試みに参画し、今後の多様化と国際化に微力ながら貢献できることを私は光栄に思います。B01は実践の場、KazLabは実験の場として、この両輪でまわることによる相乗効果を期待しています。この展望と挑戦を楽しみにしています。
今からKazLabが始まります!
執筆:キャズ・T・ヨネダ
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お付き合いいただきありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!